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もともと若い頃から、
右手の具合が悪かった母だが、
主婦業はしっかりこなし、
リハビリをかねて通った洋裁学校での技術を活かして、
私達姉妹の幼い頃の洋服は、
ほとんど母の手作りだった。
そんな母もどんどん歳をとるにつれ、
今はかなり右手の不自由さに拍車がかかってきた。
先日、一緒に小旅行をする事になり、
身支度を整えている母をみると、鏡も見ず、
おぼつかない右手でメイクをしている。
手早く、的をえた手捌き。
数分間で、
あっという間に、
いつもの母の顔になっていた。
鏡も見ずに、あっという間。
理屈付きのテクニックなんか、いらない。
最新アイテムも、
ましてやマニュアルなんて、
もってのほか。
そう、何にもいらない。
何もなくて、それでいいのだ。
長い年月の間に、
人生とともに歩んできた、
その人だけのメイクアップマニュアルが、
しっかり完成しているのだ。
私が教えるような事は、
そう、
きっと、
なにひとつないのだ。
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