2006年3月20日月曜日

京都OHBL奥田浩子のBeauty Memories      "ピンクのネイル"


はじめて買ったコスメといえば14歳の頃、ピンクのネイルだった。
今のようにコンビニや100YENショップなどに、化粧品がおかれていた時代ではなかったので、アイラインがばっちり入った店主の顔を見ないようにして、勇気をふりしぼって化粧品店で購入したのを覚えている。
桜色の淡いピンクのネイルを爪に塗るだけで、当時中学生だった私は、ぐっと大人の女性に近づいたようで胸がドキドキした。家族が寝静まった後、一緒に買った除光液で、何度もとってはつけてを繰り返し、何ともいえない甘〜い気持ちに浸っていた。
そして、何度かくり返しているうちに、自分の爪だけではもの足りなくなった私のすぐ横には、当時小学生だった妹のなんとも可愛らしい指・・・。細くて小さな指にピンクのネイルは可憐に咲く花の様。私はぐっすりと寝入っている妹の手足の小指4本ににだけ、こっそりとピンクのネイルを塗り、自分だけの秘密の儀式を終え、深夜遅く布団にもぐった。
次の日学校から帰ってくると、母の目はつり上がり、妹は泣いていた。
なんと、今日に限って小学校で爪の検査があったのだ。いつも几帳面に短く切りそろえてある爪を、妹が先生の前に差し出したところ、なぜか小指は薄紅色。
時代は今から30年程前である。小学生がネイルなんか塗ってきてはいけませ〜ん!!と、叱られたそうだ。ああ、かわいそうな妹。思えば私の妹はいつもいろんな形で私の美容に対する専属のモデルだったように思う。

春の気配を少し感じるようになると、いつも私はピンクのネイルを思い出す。
自分の爪と妹の手足の小指4本を、少女からちょっぴり大人へと、薄く染めたピンクのネイル。
今の仕事をするようになって、ピンクのネイルに大層こだわるようになった。たくさんのメーカーから必ずと言っていい程ピンクのネイルは発売されているのだが、なぜかあの時の、胸がドキドキするような甘酸っぱい気持ちにさせてくれるピンクのネイルとめぐり会わない。最後にはいくつものメーカーのピンクのネイルを調合して、納得のいくオリジナルのピンクのネイルをつくって大切に塗っていた。
そして今から2年程前、仕事でネイルの色を担当させて頂ける機会がめぐってきた。
もちろん自分で調合したあのピンクを、企画の段階で熱く熱く語らせて頂き、納得のいくピンクのネイルが出来上がった。今、そのピンクのネイルを愛用して下さっている方も少なくない。

私がはじめて買ったコスメ、ピンクのネイル。
今、OHBLそしてOHBLPLUSのディスプレイ棚にある、品質、外観共にグレードアップしたピンクのネイルをふと見る時、あの時のドキドキした少女の頃をいつも甘酸っぱく思い出す。
もう何十年もたってしまったけれど、あの時の気持ちをピンクのネイルは、大切にしまってくれているように思う。

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